HAPPY ANNYVERSARY(1984)

●1982年3月31日。すべてオリジナル今日の新しいバンドを作ろう・・という夢を抱きながら、都内の

スタジオにはせ参じた約20名のミュージシャン。

ここに<MUSIC MAGIC ORCHESTRA>が誕生しました。その翌年、初めてのライブが渋谷「ラ・ママ」で行われました。そしてそのまた翌年、渋谷「ライブ・イン」での結成2周年

ライブを前に作曲されたのがこのナンバーです。そう、みんなが一体化できるような、前向きで、力強くて、ちょっとファンキーな大ユニゾンのメロディがこの曲の命です。

イントロは神秘的に、でも疾走感を出しながら高まる期待を表しています。これからもさまざまな機会に演奏したくなるような曲であってほしいと思います。

   

FOR TOMOHIRO(1986)

●1986年は、当時のMMメンバーには2世誕生というようなニュースが時々ありました。

とくに同年代のAltoSax奏者・副田信孝クンに息子が誕生したという知らせは、なにか、心を浮き立たせるような思いがありました。そんな幸せな心情と彼のSaxの音が僕の頭の中でひとつになったのでしょう。

軽快なSaxソロからまるでソロの延長のような圧巻の?Saxソリ、また周囲の人の温かく見守るかのようなTrumpetによるサビフレーズ、そして終盤のソロとオーケストラとの対話まで、一晩で一挙に書きあげたからこその勢いが見て取れる作品かと思います。今では、だれもが「身近な人への親愛なる気持を込めて演奏できる曲」として定着しており、ビッグバンド版「ヘイ!ジュード」なんて申しましたら怒られますでしょうか。  

 

こちら2曲については、下記サイトにて楽譜を販売しております。

https://www.musicstore.jp/shop/fl_jazz/bmp.php?ca=bbjaorg

MOON FANTASIA(1982)
●MMOが結成されて初めてのリハーサルは1982年の3月31日、場所は六本木マッド・スタジオでした。この時代は、作曲するためのひとつの契機としてダンス用の組曲として
作られることもあったのです。月をテーマにした3曲の最初の曲として選ばれたのが、後にも先にも唯一の“カバー曲”である、このドビュッシー「月の光」でした。原曲のピアノによる山水画のような淡い月光の表現からトランペットの雄大な表現へ・・・それはまるで、月をバックに自転車が夜空を渡る、あの映画「ET」の名場面を彷彿とさせるとの声がもっぱらです。テーマの明確さや美しさという作曲の基本路線は、やはりこの曲が原点なのかもしれません。

LOVE ME TO THE BONE(1982)
●MMOの、ある意味でのテーマソングともいえるこの楽曲は、当時惜しまれつつ演奏活動を辞めたメンバーでトロンボーン奏者・Kさんの送別会のために作られ、みんなで演奏されたものです。その後「音楽と楽器を愛するすべての人のために」というテーマに普遍化されて

今日まで演奏され続けています。

また、ソウルシンガーの入道(西村明信)による歌詞もつき、メンバー一同「♪I’m Gonna(Going to) Be With You& Love Me To The Bone・・・」と高らかに歌われたこともあります。これほど、「歌う」ということと「楽器を演奏する」ということがピッタリ重なるビッグバンドの曲は類を見ないでしょう。

LYNX (1982)
この曲もMMO創立年に出来た曲。きっかけはやはりショーダンサーからの依頼。当時はエスニックという言葉はあまり流通していなく、さらにワールドミュージックという言葉も知らず、たとえば「アフリカ音楽風」とリクエストされても、あくまでも想像の世界でした。でも情報が乏しかった分、自由な発想が生まれたのかもしれません。その後、新宿は歌舞伎町にあったミュージカルシアター「シアターアプル」で行われた”キャバレー大爆発!”というイベントに出演した時は、林英哲さんが叩く9尺にも及ぶ和太鼓m加わり、セクシーなショーダンサー達、金粉を身体に塗った暗黒舞踏家(大駱駝鑑)ほか芸人・パフォーマー数十人が乱舞しました。その光景は凄まじく、また感動的でした。

なおアルバムでは、副田さん(as)のフリーキーなアドリブソロに対抗できるのは・・・?という基準でピアノの佐山雅弘さんに白羽の矢が立ちました。そのテンション感とスピード感ともに高い白熱した演奏にご注目下さい。

BAOBAB DANCE(1993)
●1993年に東京・下北沢にある<北沢タウンホール>でコンサートをやりました。

その時、プロデュースを引き受けてくれたM氏から、ジャズやフュージョンではない、

当時はワールドミュージックとも言いましたが、レゲエやサルサとともに、様々なアフリカの音楽を聴くようにと音資料を手渡されました。中でも声のハーモニーだけでリズムを醸し出す女性グループや、マヌ・ディバンゴというミュージシャンには強く惹かれました。

この曲は地球の鼓動を伝えるかのような、大らかで、慈愛に満ちたアフリカ音楽の世界観に憧れて作った曲です。同じリズムパターンがいつ果てるとも知らずに続き、まるで永遠の時を刻むかのようです、これまでのビッグバンドにはなかった心地よさを追い求めた、ひとつの到達点ともいえる曲になりました(2ndアルバム所収)。

BOOGIE-WOOGIE CONCERTO(1992)
●アメリカの作曲家でピアニストのモートン・グールド(1913ー1996)が作曲したピアノ曲「ブギウギ練習曲」。かつて本人が演奏する貴重な映像を見た瞬間パッと閃いたのがこの曲です。ブギウギとはブルース形式(主に12小節)で速いテンポが特徴。

当時のMMOのピアニストだった砂原氏はクラシックも得意でしたのであちこちにそのテクニックを詰め込んで、なおかつスッキリとしたメロディーラインのテーマ、またイントロの木管アンサンブルなど、コンチェルトという名称に相応しい楽曲になりました。その後、堺さん、あるいは佐山さん、どのピアニストにも大いに腕を振るっていただきました。